エッセイ・感想

「俺ルール」と法治国家──外国人批判に潜む“原始思考”

日本では、「ルールを守れ」という言葉がよく使われます。
電車の中でも、会社でも、SNSでも。
しかし、その「ルール」とは一体誰のためのものなのでしょうか。

近年、外国人に対して「ルールを守らない」と批判する声が増えています。
けれども、その中には、法に基づいたルールではなく、“個人の感情や思い込み”に過ぎないものも多く見られます。

つまり、日本社会の中には、「俺ルール」という目に見えない小さな“支配の仕組み”が存在しているのです。

このエッセイでは、その「俺ルール」がどのように日常に潜み、
どのように法や文化の誤用を生んでいるのかを見ていきます。


第一章 「俺ルール」の社会

一部のネット上の保守層(いわゆるネトウヨ)はよく「外国人はルールを守らない」と強調して批判します。
しかし、彼らの言う“ルール”とは何か。

結局、多くの場合は曖昧で、人によって変わるのです。
でも、まとめてみると、次のようになります。

「日本人である俺と違う主張をするな」
「日本人である俺の言うことに従え」

つまり、それは社会のルールではなく、“俺ルール”なのです。

著者である私にも、
「日本語でポストをするな」や「日本にいるなら日本を批判するな」
といったメッセージが届くことがあります。

こうした“俺ルール”は、原始時代なら通用したかもしれません。
しかし、現代社会では通用しないでしょう。
法の上に個人の感情を置く社会は、文明とは呼べません。


第二章 日常に潜む「小さなルール」

ゴミ出しのルールを持ち出して外国人を非難する人もいます。
確かに、外国人がゴミの出し方で注意されるケースは多いでしょう。

しかし、ゴミ出しのルールは本来、回収業者と本人との間の問題です。
間違えて出したら回収されないだけで、本人が処理すれば済む話。
近所の人の責任ではありません。
そして、近所の人が関与する権限もないはずです。

「臭いがキツい」と言う人もいるかもしれません。
しかし本当に被害を受けたのなら、法的手段を取ればいいだけです。

法治国家を誇りながら、法を無視して外国人を攻撃するのは、
“法治先進国”の国民としてふさわしくありません。
つまり、法治国家に生きるなら、
感情や個人の押し付けではなく、法律に基づいて公平に対処すべきなのです。


第三章 「犯罪」を持ち出す人々

次に、「外国人の犯罪」を持ち出して批判する人もいます。

しかし、犯罪に対応するための専門機関はすでに存在します。
警察、裁判所、出入国在留管理庁──それぞれが法律に基づいて対応しています。

犯罪の処理はこれらの機関の責任と権限であり、
一般人がその代わりに勝手に動けば、違法行為になることもあります。

それを理解せずに「正義」を名乗るのは、ただの自己満足です。
結局、犯罪を止めようとして自分が犯罪者になる。
そんな皮肉な結果を生むこともあるのです。


第四章 法と文化の誤用

だから、曖昧な「ルール」を利用して外国人を差別するのは、建設的とは言えません。
外国人・日本人を問わず、違法行為であれば法に基づいて対処すべきです。

文化を守ることは大切です。
しかし、人権や法律を無視して他者を攻撃するような行為は、もはや“文化”とは呼べません。

そして、人権侵害や法律違反になるおそれのある「文化」を、
他人に押し付けたり、強制したりしてはならないのです。


結論

日本社会が本当に大切にすべきなのは、
「ルールを守れ」という要求そのものではなく、
「法律を誰にでも公平に適用できる社会」を守ることではないでしょうか。

外国人に「法律を守れ」と求めながら、
日本人自身がその法律を無視し、
代わりに「俺ルール」という“自作の法律”を押し付けていては、
うまくいくはずがありません。

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