ベトナム人技能実習生のタン君は、普段はおとなしく、指示にきちんと従うタイプ。
そんな彼がある日、「絶対に行かない」と配達業務を拒否しました。相手は中村さんという日本人社員。社長も困り果て、通訳に助けを求めます。
通訳が駆けつけて事情を聞くと、タン君はこう打ち明けました。
「社長が中村さんに“僕を殺せ”と言ったんです。指で×を作って、僕を指さして…。」
しかし社長の説明はまったく別のものでした。
「荷物の扱いが雑だったから“気をつけて運べ”と中村に言っただけですよ!」
どうやら「×」のジェスチャーが、タン君には命に関わる合図に見えてしまったのです。
誤解が解けた後、タン君は安心して配達に出発し、帰ってくる頃には中村さんとの距離も少し近づいていました。とはいえ、しばらく職場では「タン君、×マークには要注意!」という冗談が飛び交っていたそうです。
この出来事から学べること
何気ない身振りや表情でも、異なる文化背景の中では全く違う意味に解釈されることがあります。
今回のケースは、社長が通訳に冷静に相談し、通訳が迅速に橋渡し役を果たしたことで、円満解決に至りました。もし感情的に対応していたら、取り返しのつかない結果になっていたかもしれません。
異文化の職場では、「違いがある」ことを前提に、言葉だけでなくジェスチャーや態度も意識して伝えることが大切です。
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